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細菌検査室

食品安全検査の強化と充実のための取り組み

 

どんな検査をしているの?

 食品の微生物学検査では、食品中にいる生きた細菌の数や、検査する食品の種類に応じて特定の細菌がいるかいないか、あるいはどのくらいいるのかを調べています。
 ほかに、微生物学検査の手段を用いて、抗生物質、アレルギーを起こす成分あるいは遺伝子組み換え食品が含まれているかを調べる検査も行っています。

 

どんな効果があるの?

 食品中に生きた細菌がどのくらいいるか、あるいは特定の細菌が検出されるかどうか等の基準は、かなり厳しい基準に設定されています。そのため、この基準が守られている限り安全といえます。もし基準を満たしていない食品があった場合は、消費者の手にわたらないような措置を直ちに行うことによって、食中毒等の危害を未然に防いでいます。

 

食中毒原因菌の検査

 食品中にはいろいろな細菌がいます。しかし、そのほとんどは食中毒の原因になるものではありません。また、細菌は1mmの1000分の1ぐらいのとても小さなものです。そのため、食中毒の原因となるような特定の細菌を見つけるためには、その特定の細菌だけを目に見えるくらいに増やすことです。


 具体的には、まず、検査する食品を滅菌した生理食塩水(0.85%の食塩水)とよくかき混ぜて、液状のものにします。次に、その特定の細菌が発育するのに必要な養分と、それ以外の細菌の発育を抑制するような物質を混ぜて、寒天で固めた培地の上にこの液状にしたものを塗り広げます。そして、この培地をその細菌の発育に適した温度等に調整された環境におきます。
 細菌という生き物は数十分毎に1個が2個に分裂して増えていくので、もとの食品中にその細菌がいた場合、このまま1~2日たつと、培地の上には何億倍から何兆倍にも増えた直径数mmの細菌のかたまり(これを「コロニー」という)ができ、その細菌がいたことが確認されます。しかし、実際は見つけようとする細菌だけがコロニーを作るのでなく、そうでない細菌もコロニーを作ってしまいます。そのため、培地に見つけたい細菌だけが分解できる物質、あるいはその細菌だけが分解できない物質とpH指示薬を加えておきます。このとき、加えた物質が分解されると酸などができるものであれば、これを分解するかしないかによってコロニーの色に違いがでます。
 このような方法によって、食中毒原因菌はいろいろな細菌の中から分離されます。ただし、食中毒原因菌には性質の異なる多くの種類があるため、種類ごとに、加えられている物質の異なった培地が用いられます。
 しかし、このようにして得られたコロニーの細菌も食中毒原因菌の候補に過ぎません。そのためこの細菌をさらに詳しく何段階も検査をして食中毒原因菌かどうかの判断をします。