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新鮮な肉やレバーは生で食べてもだいじょうぶ?(病原性大腸菌O-111、O-157、カンピロバクター等に関して)

2009/03/31

 料理店などでも、「この肉は新鮮だから」と生やよく加熱しない状態で食べさせることがありますが「新鮮だから大丈夫」というのは大間違いです。 

 最近、バーベキューや焼き肉店などで、生焼けの肉やレバーを食べて食中毒を起こす例が増えています。

 原因のひとつは、鶏肉の表面や牛レバーについていたカンピロバクターという細菌です。

 この細菌は、もともと動物の消化管の中にいますが、下の図のように肉にする作業の中で消化管が傷つけられると、肉やレバーを汚染します。レバーでは胆管など内部にいることもあります。
 

腸内容で汚染された鶏

 スーパーで売られている鶏肉の50~70%にカンピロバクターがついていたという調査結果もあります。

  

 また、牛レバ刺し、ユッケなどでは、O-157 、O-111などの病原性大腸菌による食中毒が多発しています。
 こちらも、もともと牛の腸内にいた菌が、解体時に肉やレバーを汚染します。また、レバーの内部からも菌が見つかっています。

 生肉での食中毒事件多発を受けて、厚生労働省は生食用食肉(牛肉)の規格基準を定め、平成23年10月1日より施行されました。その中では生食用食肉の加工や調理に必要な施設の基準、肉の取り扱い(表面から深さ1cm以上までの加熱処理等)、細菌検査の基準、取扱者の要件等が決められていますが、この規格基準でさえ生肉の安全を保証するものではありません。

 また、レバーについては内部にも菌がいるので表面を加熱しても菌を殺すことはできません。平成24年7月1日から、厚生労働省は 安全に生食するための有効な予防策について新たな知見が得られるまでの間、牛のレバーを生食用として販売・提供することを禁止することにしました。

 

さらに、豚のお肉や内臓についても、E型肝炎ウイルスや食中毒菌による重い食中毒が発生する危険があることから、平成27年6月12日、牛レバーと同様に、生の豚のお肉や内臓は生食用として販売してはならない旨を規定しています

 鶏肉やシカ及びイノシシなどの野生動物の肉については生食用の基準自体がなく、そもそも生で食べるべきではないと考えられています。

 大腸菌は二次汚染された食品中でも温度、湿度の条件が合えば増殖します。カンピロバクターは酸素に弱いので空気中で増えることはなく、時間がたてば死んでしまいますが、逆に新鮮な肉ほど元気な菌がたくさんついていることになります。

 特に、抵抗力の弱いお年寄りや子どもさんでは重症化する傾向があり、生肉、レバ刺しを食べさせるのはたいへん危険です。生肉、レバ刺しをを食べないよう、また、食べさせないようお願いします。

 

生肉による食中毒
 

 加えて、肉は加熱しても、生肉を扱った手や器具で他の食材をさわって菌をつけてしまうこともあるので、肉を扱った後の手洗いや器具の使い分け、消毒も大切です。
 

 

参考:腸管出血性大腸菌食中毒の予防について(厚生労働省ホームページ)

    

    牛レバーを生食するのはやめましょう(「レバ刺し」等)(厚生労働省ホームページ)

 

     豚のお肉や内臓を生食するのは、やめましょう(厚生労働省ホームページ)

 

    ジビエ(野生鳥獣の肉)はよく加熱して食べましょう(厚生労働省ホームページ)